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2016/05/11

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刃の部分は1mmを満たさない程度に薄く削られていて、収穫した麻の余分な枝や葉を落とせるように作られています。きっと鋼の刀を模して表現したのかもしれません。刃の部分だけに水色の顔料が塗られています。たどたどしい筆跡とおもちゃのような色合いは、見るものに親しみを与えてくれます。でも、持ち手の部分はだいぶ使い込まれたらしく鈍い光沢をはなっているので、きっと道具としても随分活躍したのでしょう。人と道具の関係がもっと親密で暖かかった頃の名残。

2016/05/11

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刃の部分は1mmを満たさない程度に薄く削られていて、収穫した麻の余分な枝や葉を落とせるように作られています。きっと鋼の刀を模して表現したのかもしれません。刃の部分だけに水色の顔料が塗られています。たどたどしい筆跡とおもちゃのような色合いは、見るものに親しみを与えてくれます。でも、持ち手の部分はだいぶ使い込まれたらしく鈍い光沢をはなっているので、きっと道具としても随分活躍したのでしょう。人と道具の関係がもっと親密で暖かかった頃の名残。

2016/05/11

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楢は王様の木

南スウェーデンの工芸家の案内で、周囲を牧草地ですっかり囲まれた小さな農村に行ったことがあります。確か、籠を作る材料の植物をみせてもらったに違いありません。海を望む小高い丘に作られた古民家には、ちょっとした秘密がありました。その昔、楢の木を伐採することを許されなかった人々は、古舟を解体して家を作りました。家のサイズに合わない短い寸法の木材が使われているのも、特に何も組まれていないのにあけられたホゾ穴も、この家が舟だったころの名残。この家は、海を知っています。

楢は王様の木 2016/05/11

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南スウェーデンの工芸家の案内で、周囲を牧草地ですっかり囲まれた小さな農村に行ったことがあります。確か、籠を作る材料の植物をみせてもらったに違いありません。海を望む小高い丘に作られた古民家には、ちょっとした秘密がありました。その昔、楢の木を伐採することを許されなかった人々は、古舟を解体して家を作りました。家のサイズに合わない短い寸法の木材が使われているのも、特に何も組まれていないのにあけられたホゾ穴も、この家が舟だったころの名残。この家は、海を知っています。

2016/05/11

open_3

緩やかで穏やかな丘陵に沿って、細い枝を斜めに組んだ柵が設けられています。その広大な牧草地にはあまりにも小さくて簡素でした。一見何でもないようなこの柵には、寒冷地を生きる逞しい人々の知恵が凝縮されています。若い細い木を使い最小限の切断で最も効率よく長い距離を囲う柵を作ることができます。時間をかけて手間暇をかけて作られる美術工芸品も美しいけれど、このような生活品により強く惹かれるのは、単なる合理的機能美だけではなくて懐古主義だけでもなくて、その存在の逞しさなのだと思います。

2016/05/11

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緩やかで穏やかな丘陵に沿って、細い枝を斜めに組んだ柵が設けられています。その広大な牧草地にはあまりにも小さくて簡素でした。一見何でもないようなこの柵には、寒冷地を生きる逞しい人々の知恵が凝縮されています。若い細い木を使い最小限の切断で最も効率よく長い距離を囲う柵を作ることができます。時間をかけて手間暇をかけて作られる美術工芸品も美しいけれど、このような生活品により強く惹かれるのは、単なる合理的機能美だけではなくて懐古主義だけでもなくて、その存在の逞しさなのだと思います。

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